2010 Fiscal Year Annual Research Report
阻害剤の作用機構研究を基盤とするミトコンドリア複合体-Iの動態解明
Project/Area Number |
21880024
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村井 正俊 京都大学, 農学研究科, 助教 (80543925)
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Keywords | ミトコンドリア / 複合体-I / アセトゲニン / キナゾリン / 光親和性標識 / ユビキノン |
Research Abstract |
ミトコンドリアNADH-ユビキノン酸化還元酵素(複合体-I)は、細胞のエネルギー代謝において重要な役割を担う呼吸鎖酵素である。本研究は複合体-Iにおける阻害剤/ユビキノン結合部位の同定と相互作用の解析を行うことを研究の目標とした。 前年度に引き続き、好気性酵母(Y.lipolitica)に由来する精製複合体-Iを用いて、光親和性キナゾリン型プローブ([^<125>I]AzQ)による光親和性標識実験を行った。本プローブは49kDaサブユニットを特異的に標識したものの,それ以降の解析に十分な標識量を達成することが出来なかった。 そこで、実験材料をウシ心筋由来の単離複合体-Iに変更したところ、本酵素は一定量のリン脂質存在下でAzQに対して高い感受性を示した。49kDaおよびND1サブユニットに対する[^<125>I]AzQの標識反応の特異性も、リン脂質存在下で顕著に認められた。これらの結果は、単離酵素の構造がリン脂質によって保持・安定化されていることを示すものである。続いて、[^<125>I]AzQによって標識された49kDaおよびND1サブユニットを単離し、プロテアーゼ消化によるマッピングを行った。 その結果49kDaサブユニットはN末端領域に(Asp41-Arg63)、ND1サブユニットはマトリックス側第3ループ領域(Asp199-Lys262)に、[^<125>I]AzQが結合していることが明らかになった。当研究室の先行研究から、本ループ領域は他の阻害剤の結合部位でもあることがわかっている。このことから、本ループ領域が阻害剤結合部位を構成すると同時に、膜ドメイン(ND1)と親水性ドメイン(49kDa)との接触点となって両ドメインの相互作用において重要な機能を果たしていることが示唆された。本成果は現在、論文発表の準備中である。
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