2010 Fiscal Year Annual Research Report
間伐材の圧密加工による新しい木質系建築構造材料の創成とその応用
Project/Area Number |
21880025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北守 顕久 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (10551400)
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Keywords | 国産材 / 建築構造・材料 / 間伐材 / 農林水産物 / 軸組構法住宅 / 丸太構法 / 圧縮木材 |
Research Abstract |
本研究では国産材、特に資源蓄積が多く有効活用法が模索されるスギ材を、建築構造材料として使用するため、丸太材のまま表面を圧密加工することで高強度化し、さらに効果的な耐力発現を可能とする構法の開発を行った。 スギ材の圧密加工法とその材質特性について、丸太材を放射状に切削して採取した試験片を半径方向に平板プレスにより圧密化し、断面内の歪み分布計測により、形状に起因する被圧密化特性について検討した。その結果、年輪傾角の大きい45度方向において大きな横引張力が生じ、内部で引張破壊を生じるため、これを抑えるために横圧締が必要なことが分かった。 また圧密化されたスギ材の材質特性を評価すると同時に、特に建築材としての仕様環境下における温湿度変動を考慮し、断面寸法の安定性を評価した。圧密試験体を湿度が周期的に40-80%RHに変動するチャンバー内に放置し、圧縮方向における寸法回復を計測した。その結果、圧密後の断面から最大16%程度の回復を生じた。回復率は徐々に低下したが、これを指数関数を用いて表現できた。また回復量には試験片の初期含水率が大きな影響を及ぼすことが明らかとなり、初期含水率が高い場合、最大で6%程度の回復で収束した。 さらに丸太を使用した構法開発として、材軸方向に円坑を設けた丸太に鋼管を挿入し、ドリフトピンで留めつけた接合部の耐力性能を評価した。ドリフトピンが十分な靭性を発揮する条件の場合、その降伏耐力はYETモデルを改変して算定可能であることを示し、また複数のドリフトピンを挿入する場合の破壊条件に対する検討を行った。すなわち、ドリフトピン相互の挿入角度によっては割裂を誘発しやすい傾向にあるため、挿入角度を90度傾けることでピン間距離の影響を受けにくく、ドリフトピンの耐力に応じた有効な耐力発現を実現できた。
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