2010 Fiscal Year Annual Research Report
閉鎖性水域における富栄養化・貧酸素化の予測・制御に関わる基礎的研究
Project/Area Number |
21880036
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
尾崎 彰則 九州大学, 大学院・農学研究院, 特任助教 (40535944)
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Keywords | 閉鎖性水域 / 水質成層 / 密度流 / 曝気 |
Research Abstract |
本研究では,富栄養化・貧酸素化と密接に関わる受熱期・多雨期の閉鎖性水域における密度流現象および水質輸送現象に着目し,(1)密度成層構造の形成特性および密度成層流体の水質輸送特性について解明すること,(2)吹送流および機械的撹拌(曝気)による成層解消効果および溶存酸素供給効果を解明することを目的として,閉鎖性水域における気象項目・水質項目の連続観測および閉鎖性水域を模擬した実験水槽による流体実験を行い検討した.気象項目および水質項目の現地連続観測結果から,受熱期の密度成層構造形成特性として,日サイクルの受熱および放熱の繰り返しによって,表層・底層間の水温差・溶存酸素差を発生させ密度成層が形成されることが明らかになった.成層を解消する吹送流の効果としては,風速8m/s以上で水温成層に有効であるが,溶存酸素成層に対しては効果が見られなかった.一方,多雨期の密度成層構造形成特性として,濁水を含んだ低温の降雨表面流出水が水域内に流入することにより,上下層間の密度差を生じ,特異的な密度成層を形成させることが明らかになった.密度成層流体中の水質輸送特性については,吹送流によって生じる乱れエネルギーとその輸送が重要であることを確認し,吹送流の水質輸送に対する寄与を理論的に定量化した.機械を用いた曝気の成層解消効果については,水温,溶存酸素成層ともに一様化する効果が見られたものの,溶存酸素供給効果はほとんど見られなかった.これは,機械による曝気を行った場合,底泥を巻き上げることにより水域内の酸素消費を促進するためであると推察される.以上の観測および実験結果に基づいて水質予測数理モデルを構築し,富栄養化・貧酸素化の予測・制御手法について提言した
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Research Products
(2 results)