2009 Fiscal Year Annual Research Report
沈砂池に賦存する未利用リン資源のサトウキビ栽培への有効利用に関する研究
Project/Area Number |
21880039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
仲村渠 将 University of the Ryukyus, 農学部, 助教 (70537555)
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Keywords | 沈砂池 / 未利用リン資源 / 浚渫土砂 / 菌根菌 / サトウキビ |
Research Abstract |
沖縄地方の農業地域に造成される沈砂池には土砂およびリン成分を削減する効果があり,したがって沈砂池には未利用リン資源が賦存している.本研究では,沈砂池から回収した土砂に菌根菌を投与することによって,土砂に含まれる未利用リン資源をサトウキビ栽培に有効利用することを目的としている.サトウキビをポット栽培し,菌根菌の投与による生育量の変化を調査する.サトウキビをポット栽培試験するための前処理が本年度の主な研究実績であり,具体的には以下のとおりである. 1. 維持管理のために沈砂池から浚渫された土砂(約300kg)をポット栽培試験に用いる材料として回収した. 2. 回収した土砂を滅菌してポット栽培試験に用いる滅菌土壌144kgを作成した.土砂の滅菌には高圧蒸気滅菌器を用い,滅菌温度121℃で30分間処理した. 3. ポット栽培試験に供試するサトウキビの側枝苗を160本購入した.ランダムに20本選抜し,側枝苗の生育量として地上部の乾物質量を測定した.側枝苗地上部の乾物質量の平均値は0.192gであった.これを初期値としてサトウキビの生長に応じた生育量の変化を今後のポット栽培試験で評価する.なお,サトウキビの品種は農林8号である. 4. 回収した土砂の全リンを測定した.風乾土壌に含まれる全リンの平均値は244mg/kgであった.この結果より,沈砂池から浚渫された土砂にはリン成分が含まれているといえ,調査対象とした沈砂池には未利用リン資源が賦存していることが明らかとなった.したがって,菌根菌の投与によりサトウキビの生育が促進されることが期待される. 5. 回収土砂を観察した結果,鉄くず,プラスチックくずなどの雑物混入が認められた.また,土砂の一部をポットに充填して降雨にさらしたところ,粘土分が多いために排水性が悪かった.雑物除去や排水性の改善が今後の課題として明らかとなった.
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