2010 Fiscal Year Annual Research Report
母性因子による仔イヌの神経内分泌学的発達メカニズムの解明
Project/Area Number |
21880046
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
永澤 美保 麻布大学, 獣医学部, 特任助教 (70533082)
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Keywords | 発達 / ストレス応答 / コルチゾール / 母子関係 / イヌ |
Research Abstract |
イヌの母性因子の定量化を目的とした実験1においては妊娠期から離乳までの母イヌの採尿、および出産直後からの養育行動の記録を実施した。出産後から一週間毎の記録では、母イヌの養育行動に費やす時間の推移が個体によって異なることが明らかとなり、また授乳及び舐め行動の持続時間と子犬のストレス応答性の間に何らかの関連がみられることが示唆された。一方、仔イヌの内分泌発達の過程を調査する実験2では、合計で180頭の離乳期における分離テストおよび尿中コルチゾールの測定が終了し、そのうち合計で120頭の仔犬の成長後の新奇環境暴露時の尿中コルチゾールの測定も実施した。その結果、現在のところ、仔イヌのストレス不応期は4週齢前後であること、7週齢までにはHPA軸がほぼ成熟すること、成長後のストレス応答性は胎によって傾向がみられることが示された。さらに離乳期におけるストレス応答性と成長後の応答性には関連がみられ4パターンに分類することができ、さらに胎によって傾向が異なる可能性も示唆された。実験1の母犬の母性行動と幼少期のストレス応答性との関連とあわせると、イヌにおいてもげっ歯類と同様に具体的な母犬の養育行動の質がその後の気質の形成に影響をあたえることが示唆された。 以上より、本研究においてイヌのストレス不応期の存在及びHPA軸成熟の時期がほぼ特定された。さらに母犬の養育行動における個体差と、それが仔のストレス応答性と関連していることが示唆された。母性因子とストレス応答性との関連を見出だすことによって、いままであまり配慮されてこなかったイヌの初期生育環境の重要性を示すことができ、イヌの福祉向上においても極めて大きな成果であるといえる。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Assessment of the factorial structures of the C-BARQ in Japan2011
Author(s)
Nagasawa, M., Tsujimura, A., Tateishi, K., Mogi, K., Ohta, M., Serpell, J.A., Kikusui, T.
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Journal Title
Peer Reviewed
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[Journal Article] Cross fostering experiments suggest that mice songs are innate.2011
Author(s)
Kikusui, T., Nakanishi, K., Nakagawa, R., Nagasawa, M., Mogi, K., Okanoya, K.
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Journal Title
PLoS ONE
Volume: (In press)
Peer Reviewed
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