2009 Fiscal Year Annual Research Report
ニコチンをモデルとした植物のアルカロイド転流と防御機構の解明
Project/Area Number |
21880048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
士反 伸和 Kobe Pharmaceutical University, 薬学部, 助教 (20547880)
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Keywords | アルカロイド / ニコチン / 転流 / トランスポーター / MATE / プリンパーミエース |
Research Abstract |
本研究では、タバコ及びニコチンアルカロイドをモデルとして、トランスポーターを介したアルカロイドの転流と、昆虫に対する防御応答の分子機構を解明する。これまでにMATE型トランスポーターNt-JAT1がニコチンを葉の液胞に蓄積することを証明してきたが、今年度はMATE型トランスポーターC215、プリンパーミエースT408を中心に解析を進めた。C215は、ショ糖密度勾配とウェスタンブロットにより細胞膜局在であること、また酵母を用いた輸送解析からニコチンの排出活性を有することを証明した。本トランスポーターはジャスモン酸により葉特異的に発現することから、植物の虫害応答時に大量に根から地上部へ輸送されてくるニコチンを、葉全体に効率よく分配することに関与することが示唆された。一方、T408は葉緑体局在であり、ニコチン生合成時に強く発現誘導されることを明らかとし、ニコチン生産において、葉緑体から細胞質へといったオルガネラ間の代謝中間産物の細胞内輸送に関わることが示唆された。現在、各トランスポーターの形質転換植物を作出しており、さらなる解析を進めることにより、「細胞内での代謝中間産物の輸送」から「最終産物の組織から組織への転流」までの二次代謝産物生産の全容が解明されると期待される。植物は昆虫などへの防御応答としてアルカロイドを生産しており、本研究の成果は虫害耐性を向上させた植物の分子育種への応用が可能であると共に、医薬品としても用いられる有用アルカロイドの大量生産への応用基盤技術となるとが期待される。
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Research Products
(2 results)