2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21880055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
菊間 隆志 The Institute of Physical and Chemical Research, 伊藤細胞制御化学研究室, 特別研究員 (90553842)
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Keywords | 麹菌 / 小胞体 / 小胞体関連分解 / ERAD / 糖鎖 |
Research Abstract |
本研究は麹菌Aspergillus oryzaeの分泌経路解明のため、小胞体における不良タンパク質分解経路である小胞体関連分解(ER associated protein degradation : ERAD)の解析を目的としている。酵母におけるレクチン様ERAD関連因子HtmlpおよびYos9pの麹菌ホモログ(AoHtm1,AoYos9)をコードする遺伝子を麹菌ゲノムデータベースより探索し、クローニングを行った。これらの因子はその機能の詳細が不明であり、ERADを理解する上で興味深いと考えられる。 それぞれの遺伝子に緑色蛍光タンパク質(EGFP)をコードする遺伝子を融合させ、麹菌において発現させたところ、AoYos9-EGFPは小胞体もしくはゴルジ体様の構造への局在が観察された。一方、AoHtm1に関しては顕著な発現が観察されなかったため、転写開始点の決定を行っている。また、Aohtm1およびAoyos9の破壊株を作製し、糖鎖付加阻害剤、細胞壁合成阻害剤など薬剤感受性試験を行ったところ、両破壊株とも顕著な薬剤感受性は示さなかった。 Aoyos9に関しては発現が確認されたため、HA-Hisタグ融合タンパク質AoYos9-Haを発現する株を作製した。この株より細胞内膜画分を分画し、HA-agaroseビーズを用いて精製を行ったところ、AoYos9-HaがHA抗体を用いたウエスタン解析により検出された。今後、得られた精製タンパク質および合成高マンノース型糖鎖により基質特異性や切断活性が解析できると考えられる。 これらのレクチン様ERAD関連タンパク質の基質特異性や切断活性は、ERADにおける不良タンパク質認識に重要と考えられ、本研究は麹菌における異種タンパク質生産の効率化に貢献できるものと期待される。
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