2010 Fiscal Year Annual Research Report
中脳黒質網様部GABA作動性ニューロンの代謝依存的自発発火制御機構の解明
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21890007
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
長友 克広 弘前大学, 大学院・医学研究科, 奨励研究員 (30542568)
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Keywords | 脳・神経 / 生理 / 代謝 / グルコース / 温度 |
Research Abstract |
中脳黒質網様部GABA作動性ニューロンは、脳内で最も高頻度に自発発火をしている細胞の1つとして知られているが、その高い持続的な自発発火を支える制御機構は明らかになっていない。前年度の細胞外グルコース濃度低下による自発発火頻度の変化の検討に引き続き、本年度は急性単離した黒質網様部GABA作動性ニューロンを、通常のホールセルパッチクランプ法やグラミシジン穿孔パッチクランプ法を用い、HCN電流の有無でドパミン(DA)作動性ニューロンと区別し、細胞外グルコース濃度を一定値(10mM)に固定し、灌流細胞外液の温度を種々に変化させた時の自発発火頻度の変化を検討した。28℃付近の平均発火頻度が10.5Hzのニューロンでは、徐々に温度を上昇させていくと、34℃付近の平均発火頻度は18.2Hzになった。しかしおよそ1分後には平均膜電位が-43.6mVと浅くなり自発発火が観察できなくなった。自発発火が停止した状態から、温度を低下させると、徐々に膜電位が深くなり自発発火が復帰した(1.15Hz)。別のニューロンにおいても、温度上昇に伴い、32℃以上では1分以内に、徐々に膜電位が浅くなり、自発発火が観察されなくなった。逆に温度を31℃付近から低下させる実験では、およそ26℃を境に自発発火が観察されなくなった。また現在の単離方法で取り出した細胞は、水温27.5±1℃(室温28±1℃)の一定温度環境下において、GABA作動性ニューロンの静止膜電位は-55.3±4.1mV(25.1±17.3Hz,n=14)となっており、自発発火が観察できるが、DA作動性ニューロンの静止膜電位は-73.5±3.5mV(n=13)となっており発火せず、脱分極させないと自発発火は観察できなかった(脱分極時のDA作動性ニューロンの発火頻度は1.29±0.39Hz)。急性単離したニューロンでは32℃以上で自発発火が持続しないことから、生体内では細胞内に流入するNa^+イオンなどが、アストロサイトなどの周辺細胞により調節されていると示唆された。
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