2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄由来間葉系幹細胞を用いた肺癌幹細胞標的新規治療法の開発
Project/Area Number |
21890011
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
兼平 雅彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (90374941)
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Keywords | 癌幹細胞 / 骨髄由来間葉系幹細胞 / 肺癌 |
Research Abstract |
本研究において、非小細胞肺癌細胞株A549(以下A549)は、骨髄由来間葉系幹細胞(Bone Marrow-derived Mesenchymal Stem Cells;以下BMMSCs)と共培養することにより、SP(Side Population)分画(蛍光色素Hoechst33342に染まらない細胞集団で幹細胞のプールと考えられている)の割合が有意に減少すること、同時に、Sonic hedgehog(Shh)やMuc5ACなどの発現が上昇することを明らかにした。このことは、BMMSCsから産生させる何らかの因子がA549を分化の方向ヘドライブさせ、集団中に存在する幹細胞(癌幹細胞)を減少させていることを示唆するものである。次にBMMSCsより産生される分化促進因子の探索を試みたところ、液性因子であること、ならびに新たなmRNAの合成を必要としないこと、さらに、BMMSCsによるA549の分化促進は、両細胞の距離が非常に近接した状態で働くものであることを明らかにした。今後、その因子を明らかにするとともに、ヌードマウスの皮下接種モデルを用いて、BMMSCs共存下でのA549の抗癌剤に対する感受性の変化、ならびに癌退縮後の再発の有無を検討する予定である。癌の化学療法を行う上で、癌の薬剤耐性の獲得と再発は非常に重要な問題であり、その機序は不明であったが、近年、癌幹細胞の持つ薬剤排出能と低分裂能がその原因の一つと考えられている。本研究は、これまで急性骨髄性白血病において用いられていたATRA(all trans retinoic acid)療法のように癌の分化を促進させ、同時に癌幹細胞を枯渇させるという新たな癌治療の可能性を切り開くものと期待される。
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