2010 Fiscal Year Annual Research Report
メカニカルストレス応答性骨代謝におけるストレス応答シグナル経路の役割
Project/Area Number |
21890014
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松井 裕之 東北大学, 加齢医学研究所, 教育研究支援者 (10547277)
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Keywords | 骨免疫学 / メカノバイオロジー / MAPキナーゼ / JNK・p38 / NF-κB |
Research Abstract |
骨のリモデリングは破骨細胞による骨吸収を骨芽細胞による骨形成で埋め戻すサイクルによって成り立っている.メカニカルストレスは骨形成を促進することがこれまでの航空宇宙科学領域の研究から明らかになっているものの,通常の地上生活において大理石骨病が発症することは無い.このことから,力学的負荷下においても何らかの機構によって破骨細胞とのカップリングが維持されていることが推察されるが,その詳細は明らかになっていなかった.我々はこれまでに,MC3T3-E1骨芽細胞は伸展刺激により,ストレス応答MAPキナーゼJNKを介してFn14を、p38MAPキナーゼを介してケモカインMCP-3の新規発現を誘導することを明らかにし、その役割について検討を行ってきた。そこで本年度は、骨芽細胞伸展刺激時にJNK・p38経路を活性化する上流MAPKKKの同定に重点的に取り組んだ。その結果、(1)MC3T3-E1への伸展刺激によりTGF-β-activated kinase 1 (TAK1)が活性化される(2)活性化されたTAK1はJNK・p38のみならずNF-κB経路に対してもシグナル伝達を行う(3)この時のTAK1の活性化には細胞外Ca2+の流入とそれに引き続くCaMKIIの活性化が必要である(4)TAK1により活性化されるJNK・p38およびNF-κB経路は協調的にサイトカインIL-6の新規発現を促す(5)IL-6は可溶化型IL-6の存在依存的にMC3T3-E1に破骨細胞形成の必須因子Receptor activator of NF-κB ligand (RANKL)の発現を誘導することを明らかにした。これらの観察より,骨芽細胞のTAK1経路はメカニカルストレス負荷により活性化され,JNK・p38およびNF-κB経路を介したIL-6の産生により,破骨細胞とのカップリングを制御することが示された.
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Research Products
(3 results)