2010 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いた巨核球造血・血小板産生メカニズムの系統的解析
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21890024
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
上妻 行則 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (90550145)
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Keywords | 巨核球 / Bim / apoptosis |
Research Abstract |
これまでcaspase-3活性化が初期巨核球造血において重要であること、Bcl-xLなどのanti-apoptotic proteinが巨核球の生存に重要であることを報告したが、pro-apoptotic proteinの役割、なかでもBH-3 onlyタンパクに属するBimの巨核球造血における役割は未だ不明である。本研究では、bim KOマウスを用いて巨核球造血におけるBimの役割について検討を行った。bim KOマウスより採取した造血幹細胞及び巨核球ではサイトカイン枯渇によって誘導されたapoptosisに対して強い抵抗性を示したことから、Bimは造血幹細胞及び巨核球におけるapoptosis制御分子であることが示唆された。次に、生体内における血小板産生能を5-FU投与により評価した結果、血小板数回復早期ではbim KOで有意に低下したが、その後の回復はWT,bim KOマウスの両者で差を認めなかった。そこでこの原因を明らかにするために、巨核球胞体突起形成能、巨核球ploidyを測定した結果、両者で有意な差は認められなかったが、造血前駆細胞のTPO依存性の増殖能及び巨核球への分化能はbim KOで有意に低下していた。一方、巨核球へ分化後の巨核球成熟に異常はみられなかった。そこで、この増殖能及び分化能の低下の原因を探索するために細胞周期を測定したところ、in vivoの造血幹細胞細胞、in vitroの造血前駆細胞共にWTに比してbim KOでBrdUの取り込みが低下していた。以上より、Bimはapoptosisを制御し、巨核球造血において造血前駆細胞の細胞周期を制御する分子であることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)