2009 Fiscal Year Annual Research Report
ビーシージー膀胱内注入療法における病原体宿主相互作用の解明
Project/Area Number |
21890029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮崎 淳 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (10550246)
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Keywords | BCG / 膀胱癌 / 膀胱内注入療法 / BCGCWS / リポソームベクター |
Research Abstract |
【研究の目的】BCG膀胱内注入療法における膀胱癌の抗原提示細胞としての機能発現を明らかにする。 【研究方法】我々は以前よりリポソームベクター(Multifunctional Envelope-type Nano Device : MEND(R8-MEND))がマウス膀胱癌xenograftモデルにおいて、抗腫瘍効果があると報告してきた。その、抗腫瘍効果のひとつにNK細胞の関与を考えている。そこで、膀胱癌細胞株にR8-MENDおよびBCGを添加した際のNK細胞に対するリガンドの変化を検討し、抗腫瘍活性増加に影響するか検討した。さらに、実際にNK細胞を誘導し、膀胱癌細胞株に対する感受性の変化を検討した。【研究結果】1.まず、NK細胞表面上に存在するNKG2Dレセプターに対する、標的細胞上のリガンドMICA、MICB/ULBP1~3の発現を検討した。R8-MENDをT-24膀胱癌細胞株と1時間共培養させると、MICBとULBP3の発現の増加が認められた。一方、BCG生菌(凍結乾燥株)を膀胱癌細胞株と1時間共培養した際は、これらNKG2Dのリガンドの変動は認めなかった。2.次にヒト末梢血リンパ球からIL-2存在下にNK細胞を誘導した。2週間IL-2添加下にシンパ球を培養し、NK細胞を誘導した。リンパ球分画のうち40%以上のリンパ球がNK活性を持つリンパ球に誘導することができた。このNK細胞とR8-MEND送達したT-24膀胱癌細胞を共培養した結果、NK細胞に対する感受性が亢進した。さらに他の膀胱癌細胞株RT-4、RT-112、JON、253J株にR8-MENDを送達し、NK細胞との感受性を検討した結果も、T-24膀胱癌細胞株と同様に感受性が亢進していた。以上より、R8-MENDは自然免疫とくにNK細胞に対する感受性を増加させると考えられた。【考察】R8-MENDの抗腫瘍効果のひとつに、自然免疫とくにNK細胞が関与していることが示唆された。今後はより、抗腫瘍活性の強い、リポソームベクターを開発するとともに、抗腫瘍効果のメカニズムの解明を行う。
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Research Products
(2 results)