2010 Fiscal Year Annual Research Report
腎被膜下移植法によるヒト子宮筋腫の新しい実験モデルの作成とその応用
Project/Area Number |
21890038
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石川 博士 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (70553973)
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Keywords | 子宮筋腫 / トランスレーショナルリサーチ / 重症免疫不全マウス / 腎被膜下移植法 / 疾患モデル |
Research Abstract |
重症免疫不全マウスを用いた子宮筋腫の腎被膜下移植モデルを作成した。ヒト子宮筋腫組織ならびに組織から分離・培養した子宮筋腫細胞を、超免疫不全マウスである、NOD/SCID IL-2Rγ null(NSG)マウスの腎被膜下に移植し、卵巣を摘除した後、エストロゲンとプロゲステロンを投与した。移植片はエストロゲンやプロゲステロンの単剤投与では増大しなかったが、エストロゲンとプロゲステロンの同時併用投与にて増大した。この時、移植片ではエストロゲン受容体・プロゲステロン受容体は高いレベルで発現しているとともに、個々の細胞肥大がみられた。また、細胞増殖マーカーのKi67指数が高値を示し、細胞増殖も亢進していた。この増大は抗プロゲステロン剤であるRU486の併用投与で有意に抑制され、Ki67指数も有意に低下した。次に、NOD/SCIDマウス・SCIDマウス・BALB/cヌードマウスを用いて、このモデルを再現することができるかどうかを検討した。その結果、NOD/SCIDマウスではNSGマウスと同様、エストロゲン・プロゲステロン同時併用投与にて移植片が増大したが、SCIDマウス、BALB/cヌードマウスでは移植片は増大しなかった。以上の結果から、子宮筋腫の発育・増大にはエストロゲン・プロゲステロンが同時に必要であることが示された。すなわち、筋腫移植片ではエストロゲンによりプロゲステロン受容体の発現が誘導され、プロゲステロンが作用する可能性が示された。また、NSGマウスよりも廉価で日和見感染に強い、NOD/SCIDマウスを用いたヒト子宮筋腫の腎被膜下移植モデルの作成に成功したことで、このモデルを用いた、新しい筋腫治療薬の効果判定試験の汎用性が広がることが期待される。
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