2009 Fiscal Year Annual Research Report
難治性白血病原因遺伝子Evi-1による白血病幹細胞生成機構の解明
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21890055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 智彦 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 医員 (90553694)
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Keywords | 癌 / 白血病 / 幹細胞 |
Research Abstract |
まず今回作製したEvi-1-GFPノックインマウスを用いて,マウス個体でのEvi-1発現様式を骨髄細胞で解析した.胎児期・成体いずれの造血幹細胞(HSC)分画においてもEvi-1(GFP)は高発現していた.さらにその造血幹細胞分画(KSL分画)はEvi-1陽性KSL細胞と陰性細胞とに分かれ,Evi-1陽性KSL細胞は細胞表面マーカー上,CD34陰性,CD150陽性,CD48陰性と長期に骨髄を再構築できるLong-term HSCの表面マーカーと同じであった.また,Evi-1陽性KSL細胞は陰性KSL細胞に比較して,半固型培地でより多系統に分化できるコロニーを形成した.以上よりEvi-1は血球の中で最も未分化なLong-term HSCをマークしうることが示唆された.Evi-1陽性KSL細胞がLong-term HSCとしての機能を有するか現在マウス骨髄移植の系で評価中である. 次に白血病原因遺伝子MLL/ENLを本マウス骨髄細胞に導入し半固型培地によるコロニーアッセイを行った.MLL/ENLを導入したマウス骨髄細胞は形質転換が生じ,長期の継代・培養が可能になり,その不死化細胞はIL-3依存性に液体培地で増殖する.この不死化細胞に従来の白血病治療に用いる薬剤であるAra-CやEtoposideを添加するとEvi-1(GFP)陽性分画のみが残存した.同様のことはγ線照射でも認められ,Evi-1陽性細胞が治療抵抗性の細胞分画で,Evi-1と化学療法抵抗性の相関が示唆された. また,本マウス骨髄細胞をドナー細胞として白血病モデルマウスと組み合わせ,Evi-1と白血病幹細胞の関係を検証する実験にっいtは,MLL/ENLを始め各白血病原因遺伝子を導入したEvi-1-GFPノックインマウス骨髄を放射線照射したレシピエントマウスに骨髄移植しており,白血病発症とともに解析を進める予定である.
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