2010 Fiscal Year Annual Research Report
高磁場MRIを用いた脳梗塞に対する新たな血栓溶解療法の効果に関する基礎的研究
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21890070
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田中 洋次 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (80323682)
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Keywords | 脳梗塞 / 血栓溶解療法 / アネキシン2 / 出血性合併症 / Magnetic resonance imaging / Arterial spin labeling / Dynamic susceptibility contrast |
Research Abstract |
本研究では、ラットの脳梗塞モデルを用いて脳梗塞急性期におけるアネキシン2と低容量tPAを組み合わせた新たな血栓溶解療法について、その効果を検証することが目的である。 平成21年度はアネキシン2と低容量tPAの混合投与が、標準量tPA投与と同等の血栓溶解・脳梗塞縮小効果を持ち、かつ出血性合併症を減少させる結果を得た。平成22年度はアネキシンが動脈閉塞部位に実際に集積して効果を発揮しているかどうかを検証した。その結果アネキシン2は脳動脈の閉塞部位周辺に集積していることが明らかとなった。このことから血栓溶解の機序にアネキシンが直接関与している可能性が高いと考えられた。 以上の実験から、アネキシン2は低容量tPAと併用することにより、脳梗塞の治療薬として高い血栓溶解効果と低い合併症発症率を持つことが判明した。 本研究の成果は現在論文として作成中で、今後投稿の予定である。 なお本研究に付随した研究として、脳血液関門の破綻がMRIを使った脳血流計測に及ぼす影響について検討したところ、造影剤を使用した計測法(Dynamic susceptibility contrast MRI, DSC-MRI)と使用しない計測法(Arterial spin labeling MRI, ASL-MRI)の両者とも影響を受けるが、その影響はASL-MRI法が大きいことを発見し、結果を論文として発表した。
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