2009 Fiscal Year Annual Research Report
HTRA1によるTGF-βファミリーシグナルの伝達抑制機構の解明
Project/Area Number |
21890079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
野崎 洋明 Niigata University, 医歯学総合病院, 特任助教 (20547567)
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Keywords | CARASIL / HTRA1 / TGF-βファミリー / TGF-β1 / BMP-2 / BMP-4 |
Research Abstract |
Cerebral autosomal recessive arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy(CARASIL)は,HTRA1遺伝子の変異によっておこる遺伝性脳梗塞である.野生型HTRA1はTGF-βファミリーシグナルを抑制する機能を持つが,CARASILで発見された変異型HTRA1はこのシグナルを抑制できない.TGF-βファミリーシグナルは血管新生やリモデリングに重要な役割を持っており,その異常によって,遺伝性血管病を引き起こすことが知られている.このため,CARASIL患者の体内では,TGF-βファミリーシグナルの慢性的な亢進がおこり,その結果,CARASILを発症することが想定されている.CARASILの治療法を考える場合,HTRA1によるTGF-βファミリーシグナルの抑制機構を明らかにすることが重要である.そこで,TGF-βファミリーであるTGF-β,BMP-2,BMP-4の前駆体タンパクを用いて,そのプロセッシングに対して,HTRA1がどのような影響を与えるかを検討した.まず,ヒトHTRA1発現ベクターとTGF-β1前駆体,BMP-2前駆体,もしくはBMP-4前駆体発現ベクターをHEK293T細胞に共発現した.細胞からタンパク質を抽出し,抗TGF-β1抗体,抗BMP-2抗体,抗BMP-4抗体を用いたWestern Blotting法によって解析した.その結果,いずれの前駆体においても,HtrA1依存性の断片の出現を認めた.この結果は,TGF-βファミリータンパクがHTRA1の器質になる可能性を示唆する.
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