2010 Fiscal Year Annual Research Report
微生物が生産する非天然型生物活性物質の新規構造に関する研究
Project/Area Number |
21890083
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
加藤 光 金沢大学, 薬学系, 助教 (20547129)
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Keywords | 取込実験 / 非天然型化合物 / Aspergillus属 / イタコン酸 |
Research Abstract |
昨年度までに本研究室では、フナムシ由来Aspergills属真菌から、3種の新規イタコン酸を見出した。それらのうち1種は、イタコン酸前躯体の取込実験により得られ、オキザリル基を有していた。本年度は、本真菌の培養物からイタコン酸誘導体をさらに探索し、新たに1種の新規イタコン酸を見出した。また、その前駆体取込実験をさらに行い、オキザリル基を有する1種の新規イタコン酸を新たに単離した。すなわち、本研究でこれまでに5種の新規イタコン酸を見出した。取込実験により得られたオキザリル基を有するイタコン酸は、本研究で初めて見出された。また、得られたイタコン酸誘導体のうち、既知化合物ヘキシルイタコン酸にヒト単球THP-1細胞に対する細胞毒性が認められた。続いて、本真菌にイタコン酸誘導体を効率的に産生させるために、培養条件を検討した。これにより、イタコン酸を優位に産生させる条件を見出した。この条件によって、イタコン酸誘導体を選択的に本真菌に産生させ、工業的に利用できる可能性が示唆された。さらに条件を検討したい。また、前躯体の取込実験により効率的に新規化合物が産生され、かつ、優位に目的化合物誘導体が産生された。これらにより、取込実験が、多様な化学構造を微生物に生合成させる効率的な方法となり得ると考える。天然物の生合成においては、現在の有機化学的手法では不可能な反応が起こりえる。その特性の活用により天然物の構造多様性をさらに引き出すことができれば、医薬品シーズを効率的に供給できると思われる。本研究では、取込実験により、天然物の構造多様性を引き出すことに成功した。
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