2010 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍組織選択的5-アミノレブリン酸誘導プロトポルフィリン蓄積メカニズムの解明
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21890084
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中西 猛夫 金沢大学, 薬学系, 准教授 (30541742)
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Keywords | トランスポーター / アミノレブリン酸 / プロトポルフォリン / 化学療法 / フェロキラターゼ / 薬物排泄 / 有機アニオン |
Research Abstract |
5-アミノレブリン酸(5-ALA)内服時に誘導されるプロトポルフィリンIX(PPIX)の腫瘍組織選択的な蓄積は、光線力学療法または診断において有用である。しかしその効果は、がん種や進行度で異なるため、効果的な治療・診断には5-ALA誘導腫瘍組織選択的PPIX蓄積機構を解明する必要がある。本研究では、現在でも未解明な点が多い5-ALA膜透過機構を検討するため、ヒト由来の種々のがん細胞株において放射性標識された5-ALA取込みを測定した。ヒト肝がん細胞HepG2細胞などによる[^3H]5-ALAの初期取込みは有機アニオン性薬物であるプロベネシドで有意に阻害された。アフリカツメガエル卵母細胞外来遺伝子発現系およびヒト胎児由来腎細胞HEK293発現系を用いて、有機アニオントランスポーター(OAT及びOATP)による5-ALA輸送を評価した。 HEK293/OAT2細胞による[^3H]5-ALA取り込みは、時間依存的に増加し、10分まで取り込みに直線性が見られた。またHEK293/OAT2細胞による5-ALAの取り込みには飽和性が見られ、K_mは4.69±3.04mM、V_<max>は20.0±4.41nmol/10min/mg proteinと見積もられた。従って、これらの結果から、5-ALAがOAT2の内因性の基質であることが同定された。また、PPIXの合成に関わる要素をALAの取り込み、PPIX産生酵素活性、PPIXを代謝するフェロキラターゼ(FECH)酵素活性、およびPPIX排出輸送活性の4つに分類し、種々の癌細胞でそれぞれ寄与を評価した。細胞外に5-ALAが比較的高濃度で存在する場合は、PPIXの癌細胞への蓄積にはFECH活性、PPIX生合成および排出過程の3因子の影響を強く受ける可能性が示唆された。今後、5-ALAを用いた最適なPDT/FDを提唱するためには、細胞ごとにこれら各因子の寄与率を明らかにする必要がある。本研究成果の一部は既に日本薬剤学会第25年会にて報告している。現在、論文に執筆中であり、今度中に投稿予定である。
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Research Products
(1 results)