2010 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素によるタンパク修飾のパーキンソン病における役割の検討
Project/Area Number |
21890086
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小澤 健太郎 京都大学, 薬学研究科, 助教 (80507393)
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Keywords | パーキンソン病 / 一酸化窒素 / タンパク質翻訳後修飾 |
Research Abstract |
家族性パーキンソン病の原因遺伝子の一つとされているParkinが一酸化窒素(NO)による修飾、S-ニトロシル化により修飾を受け、その機能が制御されているという報告を元に、さらに詳細な機構を検討することが本研究の目的であった。まずParkinのシステインの同定を試みた。まず既報においてシステインの同定に至らなかった原因を、精製タンパク質を使って試験管内でS-ニトロシル化反応を行ったため、非特異的な反応が起こったためであると考え、培養細胞内でS-ニトロシル化させ、そのシステインを同定することを試みた。そこで培養細胞から精製したサンプルからS-ニトロシル化されたシステインのチオール基をビオチンに置換したサンプルを試料分析装置により検討したが、この方法ではサンプル量が少なすぎてシステインを同定することはできなかった。またParkinの一部を削ったミュータントを使い、修飾されているシステインを絞り込むことを試みた。すると既報と同様にRING DomainとIBR domainに修飾があることが分かった。現在、さらに詳細にポイントミューテーションを使って検討を進めている。 またParkinの基質S-ニトロシル化により修飾されていることを見いだした。現在この知見に関しても解析を進めている最中である。 今回申請した研究に関しては、当初考えていたような速度で検討を進めることはできなかった。これは当初予想していたより遙かに複雑にS-ニトロシル化がParkinやParkinの基質などを制御しているからだと考えている。ただParkinのシステイン同定に関しては時間がかかったものの、かなり絞り込まれておりほどなく同定できると考えている。またParkin以外にもパーキンソン病の発症機構に関与するS-ニトロシル化タンパク質が報告されており。今後のこの分野は孤発性の発症機構にますます重要な意味を持ってくると考えられる。
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