2010 Fiscal Year Annual Research Report
好塩基球におけるインターロイキン4産生を誘導するシグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
21890092
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小田 朗永 信州大学, 医学系研究科, 研究員 (80547703)
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Keywords | 好塩某球 / IL-4 / アレルギー / PIR-B / ITIM |
Research Abstract |
アレルギー疾患に深く関係している2型免疫応答は、IL-4により分化誘導される。そしてIL-4の供給源は好塩基球により担われている。従って好塩基球の活性化メカニズムやサイトカイン産生シグナル伝達の解明は、Th2応答を制御するという観点から各種アレルギー疾患に対する新規治療法の開発に繋がる可能性がある。我々は、野生型活性化好塩基球がIL-3応答性を消失しIL-4を産生しなくなり、一方でPaired Ig-like Receptor B (PIR-B)欠損マウス由来の活性化好塩基球ではIL-3に対する応答性が消失されない、という事を見出した。すなわち、活性化好塩基球におけるIL-3応答性は、PIR-Bにより負に制御されている事が明らかになった。IL-4産生を誘導するIL-3レセプターシグナルはFcRγ-Syk経路の活性化に依存する。PIR-B欠損活性化好塩基球による異常なIL-4産生も、Sykの恒常的な活性化が見られ、同じFcRγ-Syk経路を介している事がわかった。従ってPIR-Bの作用点は、Sykの上流をターゲットとしていると考えられる。さらに、PIR-B自体の抑制作用を調べるために、様々な変異型PIR-B分子をPIR-B欠損好塩基球に導入しIL-3に対する応答性を検討した結果、PIR-Bによる抑制作用は既存のImmunoreceptor tyrosine-based inhibition motif (ITIM)経路だけでなく、これまでに知られていないITIM非依存的な抑制経路が存在する事が示唆された。従ってPIR-Bは、活性化好塩基球におけるIL-3R-FcRγ-Sykを介するIL-4産生誘導シグナルをITIM依存的経路だけでなく、ITIM非依存的な機序を用いて強力に抑制している事が明らかになった。 次に、IL-3受容体以外のPIR-Bターゲットについて検討した。非常に面白い事に、PIR-Bは、同じFcRγ依存的なFcεRIには関わっておらず、FCγ受容体を負に制御していた。さらにFCγ受容体シグナルもIL-3受容体シグナルと同様の抑制機序でPIR-Bにより抑制されていた。
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Research Products
(3 results)