2010 Fiscal Year Annual Research Report
腎癌におけるS100ファミリー蛋白と細胞周期G1期制御因子との関連の検討
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21890094
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
杉山 貴之 浜松医科大学, 医学部付属病院, 診療助教 (70444346)
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Keywords | 腎癌 / S100蛋白 / アポトーシス |
Research Abstract |
以前我々のグループは、S100A10の腎癌組織での発現亢進につき報告しているが、今年度はまず癌抑制遺伝子p53との関連が示唆されるS100A2, A4、S100Bの腎癌細胞における発現を、ヒト腎癌細胞株5種(786-O、769-P、Caki-1、TUHR14TKB、OS-RC2)について、HEK293細胞をcontrolとし、リアルタイムPCR法にて検討した。HEK293と比較しS100A10,A2は5種すべてにおいて発現が亢進していた一方、S100A4ではCaki1,769-Pの2株のみ発現亢進であり、残りの3株では60%以下の発現量であった。また、S100Bはすべての腎癌細胞株で発現が低下していた。腎癌の臨床検体においては、S100A4は30%(4/13)の症例で正常組織に比して発現が亢進していたが、一方A2はすべての癌組織において正常組織と比較し発現が低下していた。 SlOOA4発現亢進例では病理組織学的に脈管内侵襲の認める例が多い傾向にあったが、対象症例の内多くがstage2以下であり、今後の症例集積増加により差が明らかになる可能性がある。 また、細胞外的要因にてp53誘導目的にシスプラチン負荷による細胞培養を行い、S100蛋白遺伝子の誘導確認を行ったところ、S100A2はHEK細胞、腎癌細胞いずれでも発現亢進を認めたのに対し、S100A4はHEK細胞で発現低下したが腎癌細胞では抑制されなかった。文献的には、S100A4、S100A2はいずれも遺伝子座は近隣にあり、P53に結合しその機能に影響を及ぼすとされているが、今回の検討ではS100A2はp53誘導シグナルにつれ上昇するのに対し、A4は腎癌、正常組織で異なる動きがあると考えられ、p53非依存性に変化している可能性があると考えられた。現在引き続き臨床検体での測定、ならびにp53などのLOHにつき検討中である。
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Research Products
(2 results)