2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21890095
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
尾里 納美 名古屋大学, 医学系研究科, COE特任助教 (60547454)
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Keywords | 凍結割断レプリカ法 / 脂肪滴 / 小胞体 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
脂肪滴は脂肪を細胞内に蓄える小器官として考えられてきた。近年、脂肪滴上にいくつものタンパク質が分布していることが明らかになり、細胞内での脂肪滴の役割が脂肪貯蔵のみでなく、多様な機能に及んでいることが明らかになりつつある。一方、脂肪滴の形成は小胞体膜内部に蓄積したトリグリセリド、コレステロールエステルなどの中性脂質がコアとなり、燐脂質層とともに小胞体から切り離されることによって起こると考えられているが、その詳細は明らかになっていない。本年度の研究では、脂肪滴の構造と形成過程についての知見を得ることを目的として、その足がかりとなる脂肪滴と小胞体膜ドメインの関係を明らかにすることを目指して、これまで知られている脂肪滴タンパク質および小胞体タンパク質の分布パターンを調べた。高圧窒素ガスを用いて動物培養細胞を加圧破砕し、低速遠心で核などを取り除いた細胞破砕液を作製した。つぎに細胞破砕液をショ糖による密度勾配に掛けて超遠心を行った。遠心後、最上層画分と沈殿を含まない最下層画分を別々に採取し、再度、密度勾配遠心をおこなった。二度目の超遠心ののち、最上層から順番に12のフラクションを回収し、各画分をTCA-アセトンで沈殿させウエスタンの材料とした。その結果、従来、脂肪滴タンパク質と考えられていたもののうちの幾つかは最上層だけでなく、やや重い画分にも回収され、一方、小胞体タンパク質のうちの幾つかは他の小胞体タンパク質よりも軽い画分に認められた。この結果は小胞体膜内に他とは性質の異なる領域があり、脂肪滴形成に関与している可能性を示唆した。
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