2009 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入による心血管前駆細胞リプログラミングを用いた画期的心臓再生療法の確立
Project/Area Number |
21890117
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川村 晃久 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (90393199)
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Keywords | 分子心臓病態学 / 再生医学 / 幹細胞生物学 |
Research Abstract |
重篤な末期心不全に対して、多能性幹細胞を心筋細胞へ分化させて損傷部位に移植する心臓再生療法が期待されている。人工多能性幹(iPS)細胞は、胚性幹細胞同様に、体外で無限増殖でき、多分化能を保持する一方、倫理的問題や拒絶反応がないため、その臨床応用に強い期待が寄せられている。しかし、高純度で充分量の心筋細胞分化が困難なこと、移植後細胞生着率が低いこと、癌化の危険性など、種々の問題が残されている。これらの問題を解決するために、本研究の目的は、ウイルスベクターを用いて不全心内に存在する繊維芽細胞に直接遺伝子を導入し、これらの細胞を心筋(幹・前駆)細胞に転換することによって心機能の回復を試みる画期的心血管再生療法の確立である。申請時に掲げた4つのテーマのうち、初年度は、以下の2つのテーマで成果をあげることが出来た。 テーマ1:iPS細胞誘導と心筋(幹・前駆)細胞への形質転換に関わる共通した分子機序の解明 iPS細胞形成過程においても、心筋細胞分化と同様に、ヒストンアセチル化酵素である核内転写転写因子コファクターp300が重要であることを確認した。さらに、初期化誘導過程で、iPS細胞になりやすい細胞群とそうでない群があること、さらに、初期化過程の早期段階ですでに心筋細胞へ分化する細胞が存在することをつきとめた。これらの成果から、p300を適切な時期に強制発現させたり、初期化過程の特定の細胞に心筋特異的転写因子を発現させることで繊維芽細胞を心筋(および幹・前駆)細胞へ形質転換できる可能性が期待される。 テーマ2:培養細胞レベルにおける心血管前駆細胞リプログラミング誘導候補因子の絞込み 心筋特異的転写因子など候補遺伝子の種々の組合わせの中から、心筋細胞特異的レポーターが発現する細胞を誘導することに成功した。今後、形質転換効率を高め、これらの細胞を分離し特性解析を行う予定である。
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