2010 Fiscal Year Annual Research Report
疾患特異的iPS細胞を用いたcryopyrin関連周期熱症候群の病態解析
Project/Area Number |
21890118
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
斎藤 潤 京都大学, iPS細胞研究所, 特定拠点助教 (90535486)
|
Keywords | Cryopyrin関連周期熱症候群 / NLRP3 / 疾患iPS細胞 |
Research Abstract |
本研究の目的は、小児の遺伝性発熱症候群・自己炎症性症候群の原因として重要である、Cryopyrin関連周期熱症候群の病態を疾患関連iPS細胞を用いて解析し、診断・治療法の開発を行うことである。 そこで、体細胞モザイクのCryopyrin関連周期熱症候群(CINCA症候群)患者2名から患者特異的iPS細胞を樹立した。 NLRP3変異陽性iPSクローンと陰性iPSクローンをそれぞれ複数樹立した。トランスジーンのサイレンシング、奇形腫形成能、未分化マーカー発現などを確認した。 iPS細胞株を、OP9上で造血サイトカインなどを加えることにより、造血前駆細胞を経てマクロファージに分化させた。マクロファージは機能的であり、サイトカイン産生・リステリア貧食能・活性酸素産生能などが確認できた。 NLRP3変異を持つクローンでは、すべてIL-1βの過剰産生が認められた一方で、変異なしクローンではIL-1β産生は正常であった。変異NLRP3由来クローンでは疾患特異的な細胞死誘導(pyronecrosis)、活性酸素産生も確認できた。マイクロアレイによる発現解析では、両者は極めて類似した発現プロファイルを示しており、体細胞モザイクであることから遺伝的バックグラウンドが共通であることを反映しているものと考えられた。以上より、疾患iPS細胞を用いた病態再現と疾患モデリングに成功した。今後、この細胞を用いて、IL-1βの活性化機構の解明や、NLRP3を阻害する薬物のスクリーニングなどを行ってゆきたい。
|