2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21890122
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西野 美都子 大阪大学, 産業科学研究所, 特任助教 (30510440)
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Keywords | 感染症 / 多剤耐性菌 / 排出蛋白質 |
Research Abstract |
近年、抗生物質が効かない病原性細菌(多剤耐性菌)の出現および感染拡大が医療現場において大きな問題となっている。感染症は宿主と病原微生物、すなわち異なる遺伝情報系の間の相互作用が引き金となって生じる疾患である。感染現象および感染症発症機構を真に理解するためには、病原微生物そのものの増殖・生活環、および病原性発現機構の理解を深めると同時に、宿主個体の病原微生物に対する応答機構も十分に理解する必要がある。本計画では、病原細菌が宿主に感染した際に、どのような細胞制御が行われるのかを、細菌側および宿主側の両反応を解析することにより解明し、感染システムの動作原理を理解する。 マウスへのサルモネラ感染実験において、9種類の排出蛋白質をそれぞれ欠損させた菌株を感染させると、macAB遺伝子欠損株のマウス致死能力は野生株と比較して顕著に低下し、薬剤排出系として強力に機能しているacrB遺伝子を欠損させた効果よりも大きいことが明らかとなっている。そこで宿主環境下での排出蛋白質の発現変化を調べるため、免疫細胞であるマクロファージにサルモネラを感染させ、一定時間後の各排出蛋白質のメッセンジャーRNA量の転写量の変化を定量PCR法により解析した。その結果、macABを含む3種の排出蛋白質のメッセンジャーRNA転写量が顕著に上昇していることが判明した。特に、macABは非感染時と比較して20倍以上も転写量が上昇していた。一方、細菌の主要な薬剤排出系であるacrAB遺伝子の転写量は変化しなかった。したがって、macAB遺伝子がマクロファージ内において何らかの重要な役割を担っている事が示唆された。
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Research Products
(13 results)