2009 Fiscal Year Annual Research Report
Necdin-Sirt1複合体による転写因子の制御と神経発生、分化、生存への関与
Project/Area Number |
21890123
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長谷川 孝一 Osaka University, たんぱく質研究所, 助教 (20546783)
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Keywords | 神経科学 / 発生、分化 / 脳、神経 / 脳神経疾患 |
Research Abstract |
本研究課題の主たる目的は、Necdin-Sirt1による神経発生、分化及び生存に係る転写因子の翻訳後修飾、特にアセチル化修飾の調節と様々な神経の生理的現象との相関に迫る事である。本研究課題において、摂食調節に係るFoxo1に着目し、Necdin-Sirt1複合体がこの因子のアセチル化調節とその生命現象にどの様に関与しうるかを検討している。申請時の研究計画に挙げたNecdin-Sirt1によるFoxo1アセチル化修飾の調節の生理学的意義に関する検討において、以下の成果が得られた。活性型であるアセチル化Foxo1は、視床下部に存在する特定のニューロンに発現する神経内分泌物NPYやAgrpの産生を促進し、摂食量や体重の増加に関与する。これを検討するために、プラダー・ウィリー症候群(PWS)のモデルマウスであるNecdin欠損マウスの視床下部のmRNAを回収し、定量的RT-PCR法を用いてNPYやAgrpの転写量を検討した。野生型マウスに対し、Necdin欠損マウスにおいてこれらの因子は有意に多い事が明らかとなった。NPYやAgrpは体温を下げる方向に関与するため、過剰な分泌は低体温症の原因となる。この欠損マウスにおいて、直腸温を測定したところ、野生型マウスに対し有意に低い事が明らかとなった。これらの結果から、PWSにおいて、Necdinが発現していない事によって、アセチル化Foxo1の存在比が上昇し、過度に摂食促進ホルモン(NPY,Agrp)の産生か起こり、結果として、摂食亢進、肥満及び低体温症がみられるのではないかと推察出来る。この事は、PWSにおける発症メカニズムや病態を考察する上で極めて重要であると考えられる。現在、摂食量や体重を経時的に測定し、Necdin欠損マウスにおいて摂食亢進や肥満がみられるかを検討している。
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Research Products
(1 results)