2010 Fiscal Year Annual Research Report
初期流産の生活習慣関連危険因子に関する症例対照研究
Project/Area Number |
21890128
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 幸子 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (90532987)
|
Keywords | 流産 / 日本人 / 症例対照研究 / 喫煙 / 就労 |
Research Abstract |
初期流産は全妊娠の約30%に起こるといわれ、予防のための疫学的エビデンスを得ることは重要である。そこで、2001年から2005年までに大阪府母子保健総合医療センターに入院した妊婦のうち、妊娠11週6日までに流産と診断され入院による流産処置を受けた430症例と同年の正期産出産者のうち年齢をマッチングして抽出した860名を対照とし、初期流産とリスク要因との関連についてマッチング症例対照研究を行った。ロジスティック回帰モデルを用いて因子のオッズ比を単変量、多変量解析で求めた。結果、早期流産のリスクは過去の早期流産歴のある女性で高かった。流産経験0回を基準にすると、早期流産の多変量調整オッズ比は流産経験1回:1.98(95%信頼区間:1.35-2.89)、2回:2.36(95%信頼区間:1.47-3.79)、3回:8.73(95%信頼区間:5.22-14.62)であった。生活習慣では、1日20本以上の喫煙に対する多変量調整オッズ比は2.39(95%信頼区間:1.26-4.25)であった。これは諸外国での先行研究の結果と一致した。また喫煙歴と過去流産歴には相加的な関係があり、喫煙している過去流産歴のある女性では多変量調整オッズ比は5.56(95%信頼区間:3.04-10.1)であった。就労に対する多変量調整オッズ比は1.65(95%信頼区間:1.17-2.35)であった。就労と過去流産歴も相加的な関係があり、就労している過去流産歴のある女性では多変量調整オッズ比は4.31(95%信頼区間:2.37-7.86)であった。日本において主婦の早期流産率が8.9%であったのに対し就労女性では13.1%と有意に高率であったという報告があるが、年齢による調整は行われていなかった。日本以外で職種によらず就労が早期流産のリスクとなる報告はこれまで見当たらず、要因として日本において夫婦の家事育児の分担で女性に偏っていることが影響している可能性が考えられた。日本人女性の初期流産のリスク要因について喫煙と就労が重要な公衆衛生問題であることを提示した。
|