2009 Fiscal Year Annual Research Report
電気刺激を用いた難治性視神経疾患の治療法の研究開発
Project/Area Number |
21890131
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森本 壮 Osaka University, 医学系研究科, 寄附講座助教 (00530198)
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Keywords | 電気刺激 / 網膜神経節細胞 / 神経保護 |
Research Abstract |
本年度は、研究課題I'RGCに対して最も神経保護効果を発揮するより最適な電気刺激の刺激条件を見出し治療プロトコールを確立させる。'を行った。傷害を受けた網膜神経節細胞(RGC)に対する経角膜電気刺激(TES)による生存促進効果がTESの刺激条件によってどのように変化するかをラットの視神経切断モデルを用いて検討し、電気刺激の刺激条件(電流強度、パルス幅、刺激周波数、刺激時間、刺激回数、刺激波形)によって生存促進効果が変化することをつきとめより弱い電気エネルギーの量で生存が最大になる刺激条件すなわち最適な刺激条件をつきとめ、それらの結果について論文発表を行った。この成果は、同時進行中の研究課題IV'電気刺激治療のプロトコールの確立および適応の決定とより長期の治療効果について検討'の治療プロトコールを決定する上で重要な成果である。研究課題IVの臨床研究について特に非動脈炎性前部虚血性視神経症についてTESの治療効果を検討したところ治療6カ月後に29例中11例(38%)で視力が改善したことがわかった。さらに矯正視力0.1以上の症例では19例中10例(53%)で視力が改善し、0.1未満では10例中1例(10%)しか視力が改善しなかったことがわかった。虚血性視神経症に対する治療法は確立されておらず自然経過で発症から9カ月後に2段階の視力改善例は約14%という報告があり、この報告と比較するとTES治療は効果があると考えられる。またTES治療の適応を考えていく上で治療前に矯正視力0.1以上の視力があるかどうかが治療に反応するかどうかの目安になると考えられた。このように治療プロトコールの確立および適応を確立しつつあり、今後さらに症例数を増やし検討していく意義は大きい。
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