2009 Fiscal Year Annual Research Report
ホルフィロモナス ジンジバリスのバイオフィルムにおける抗菌剤抵抗性に関する研究
Project/Area Number |
21890133
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 幹代 Osaka University, 歯学部附属病院, 医員 (30523089)
|
Keywords | 歯学 / バイオフィルム / ホリフィロモナスジンジバリス / 抗菌剤 / グルコン酸クロルヘキシジン / 菌体外マトリックス / 共焦点レーザー顕微鏡 |
Research Abstract |
本年度は、Porphyromonas gingivalisのバイオフィルムに著効を示すことが報告されているグルコン酸クロルヘキシジン(CHX)の菌体および菌体外マトリックスに及ぼす影響を3次元的に解析した。 菌体をDAPIにより染色後、唾液処理を行ったカバーグラスチャンバー内で36時間培養し、バイオフィルムを形成した後、菌体外マトリックスの主な構成成分である菌体外多糖をConcanavalin A-FITCおよびWheal germ agglutinin-FITCにて染色し、共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)観察に供した。得られた画像を画像解析ソフトにて解析した結果、バイオフィルム全体を被覆する菌体外多糖が観察された。次に、上記と同様の方法でバイオフィルムを形成した後、CHXを0.0005、0.005、0.05、0.1、0.2%の濃度で作用させ、菌体外多糖を染色し、CLSMにて観察した。その結果、0.0005%添加群では、CHX非添加群と比較し、菌体の体積が有意に減少し(P<0.05,Student t-test)、さらに、0.005、0.05、0.1%添加群では、濃度依存的な菌体の体積の減少が認められた(p<0.05)。しかし、すべての群において菌体外多糖の体積に有意差は認められなかった。 これらの結果より、CHXはP.gingivalisのバイオフィルム中の菌体外多糖には作用せず、菌体のみを選択的に排除・抑制することが示唆され、CHXは菌体外マトリックスに対して効果を示さないことが推察された。現在、CHXを作用させたバイオフィルムを走査型電子顕微鏡にて観察し、微細形態学的構造について解析中である。 残りの研究期間にて、残存した菌体外マトリックスの除去の必要性について検討するとともに、テトラサイクリン,アジスロマイシン,アンピシリン,ならびにセファゾリンナトリウムについても同様に、バイオフィルムにおける菌体および菌体外マトリックスへの影響を3次元的ならびに微細形態学的に解析するや定である。
|