2010 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィロモナス ジンジバリスのバイオフィルムにおける抗菌剤抵抗性に関する研究
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21890133
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 幹代 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (30523089)
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Keywords | 歯学 / バイオフィルム / Porphyromonas gingivalis / グルコン酸クロルヘキシジン / 塩化セチルピリジニウム / 菌体外マトリックス / 走査型電子顕微鏡 / 透過型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
本年度は、1.Porphyromonas gingivalis ATCC33277株のバイオフィルムにグルコン酸クロルヘジシジン(CHX)を作用させた後に残存する菌体外マトリックス成分の機械的除去に対する抵抗性と新たな菌の再付着の可能性、2.CHXと同様に陽イオン性抗菌剤である塩化セチルピリジニウム(CPC)のP.gingivalisバイオフィルムの菌体外マトリックスに及ぼす影響について検索した。 1.0.2% CHX作用後のサンプルを超音波処理に供した後、残存物の吸光度を測定した結果、CHX作用群はコントロール群と比較し、超音波処理による除去に対して抵抗性を示した。また、DAPIにて蛍光染色したP.gingivalisをCHX作用後のサンプル上で1時間培養した後、共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)および画像解析ソフトを用いて定量した結果、CHX作用群への菌の再付着量は唾液処理のみを地した群への付着量と比較して有意に増加した。2.DAPIにて蛍光染色したP.gingivalisを用いて形成したバイオフィルムに0.0005%-0.2%のCPCを作用させた後、菌体外マトリックスの主成分である菌体外多糖をConcanavalin A-FITCおよびWheat germ agglutinin-FITCにて染色し、CLSMおよび画像解析ソフトを用いて定量的解析を行った。その結果、すべてのCPC作用群において、バイオフィルムを形成している菌体の体積が有意に減少したが、菌体外多糖の体積に有意差は認められなかった。 これらより、CHXおよびCPCを作用させるとバイオフィルム中の菌体が死滅した後も菌体外マトリックス成分が残存することが明らかとなった。さらに、CHX作用後に残存した菌体外マトリックス成分は機械的除去が困難で、バイオフィルム再形成の足場となる可能性があり、抗菌剤作用後に残存する菌体外マトリックス排除法を検討する必要性が示唆された。
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