2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21890146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
能祖 一裕 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (10314668)
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Keywords | 肝細胞癌 / 化学療法 / 糖鎖 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高度進行に対する化学療法の早期治療効果判定(予測)を、新規開発された網羅的糖鎖解析やデータマイニング等、多角的方法論を用いて可能とし、予後改善に結びつける事である。当該年度は、既知の臨床パラメーターに、新規パラメーターとしてフコシル化ヘモペキシン、網羅的糖鎖解析、バイオプレックスエライザシステムを用いたサイトカイン発現データを加え、統合データベースを構築した。個々のパラメーターについての概略であるが、フコシル化ヘモペキシンについては、肝細胞癌約400例、慢性肝炎/肝硬変約100例の患者血清中での発現を、サンドイッチレクチンエライザにより定量した。肝細胞癌での発現は慢性肝炎/肝硬変症例に比べ明らかに高値であり、既知の腫瘍マーカーとの明らかな相関は認めないことが判明した。しかし、腫瘍数,最大腫瘍径などの腫瘍因子との相関も認められず、腫瘍が産生するいわゆる従来の腫瘍マーカーとは異なった発現パターンであり、現在肝組織での発現を検討中である。網羅的糖鎖解析では、肝癌患者で特徴的な糖鎖発現パターンを見出している。しかし、治療前の糖鎖パターンによる化学療法効果予測は、単独では困難であることが判明したため、現在治療前後での変化を確認し、その早期判定への応用を検討中である。サイトカイン発現と化学療法効果予測との関係においては、少数例の検討ではあるが、既に候補因子を抽出しており、現在症例を追加し、普遍的事象であるかどうかの確認を行っている。当該年度の研究目標をほぼ達成したため、計画に沿って、今後統合解析を進める予定である。
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