2010 Fiscal Year Annual Research Report
摂食障害における認知障害メカニズム及び認知行動療法に関する脳機能画像研究
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21890153
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三宅 典恵 広島大学, 保健管理センター, 講師 (70548990)
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Keywords | 摂食障害 / 脳機能画像研究 / fMRI |
Research Abstract |
本研究は摂食障害患者を対象に認知課題遂行時の脳活動を機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて検討し,摂食障害に特徴的な認知基盤を明らかにすることを目的としている.女性摂食障害患者(AN-R,AN-BP,BN群各12例)及び健常若年女性(12例)を対象に,1.5テスラのMRI装置を用いて身体イメージに関連した不快な情動刺激の認知課題遂行中の脳活動を連続的に撮像した.情動刺激課題では,身体イメージに関連した不快な単語のみを3単語(例:ぜい肉・脂肪・太る)呈示された中でどれが最も不快かを考え,単語に対応するボタンを選ぶ.対照課題では,情動的に中性な単語のみを3単語(例:種類・時間・述べる)呈示された中でどれが最も中性かを考え,単語に対応するボタンを選ぶ.測定された脳機能画像は解析ソフトSPM5を用いて個人解析した後に,グループ解析を行い,情動刺激課題遂行中に対照課題遂行中と比較して有意に活動が上昇した脳領域を検出した.身体イメージに関連した不快な単語刺激に対し,拒食症状や強い肥満恐怖を有するAN-R及びAN-BP群では扁桃体の活動が有意に上昇し,過食症状を有するAN-BP及びBN群では内側前頭前野の活動が有意に上昇していた.今回の結果から,摂食障害の病型・臨床症状と扁桃体、内側前頭前野における脳の反応性の関連性が推測された.本研究により,摂食障害の症状形成は,身体イメージに関連した情動刺激に対する脳の反応パターンと関連することを示しているものと考えられた.今後,研究の進展に伴い,摂食障害治療の効果判定などにつながる知見が得られることを期待している.
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