2010 Fiscal Year Annual Research Report
潤滑機能性蛋白SZPの発現調節機構の解明と顎関節機能改善を目指した治療法の開発
Project/Area Number |
21890163
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
神谷 貴志 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 特任助教 (40551057)
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Keywords | SZP / リン脂質 / 潤滑機能 / 摩擦係数 |
Research Abstract |
下顎頭軟骨は四肢の関節軟骨と同様に、細胞外基質を豊富に含んでいるために圧縮力や伸張力に対する粘弾性特性や摩擦力やせん断応力に対する潤滑機能を有している。 SZPは分子量が345kDaのプロテオグリカンであり、ムチン様リピート構造を有しており、四肢の関節軟骨並びに顎関節表層に存在し、境界潤滑機能の役割を果たすことで関節運動時に重要な機能を発揮している。変形性顎関節症の初期変化として、下顎頭の摩擦係数の増大が起こるがその詳細は明らかとなっていない。本研究は、SZPの調節機構を解明することを目的とした。H21年でSZP発現がサイトカインおよび機械的刺激により調節されていることが明らかとした。 一方、関節軟骨表層はphosphatidylcholine等のリン脂質で覆われている。SZPは表層のみに存在することから、リン脂質と結合能を有していると推測される。H22では、炎症時に上昇するボスホリパーゼA_2(PLA_2)により処理を行い、リン脂質の除去が下顎頭表層SZPに及ぼす影響について検討した。免疫組織化学染色の結果、PLA_2処理は顎関節表層からSZPを消失させた。さらに、振り子型摩擦試験機を用いた摩擦係数の計測の結果、摩擦係数の有意な上昇が認められた。炎症時に見られるPLA_2の上昇は、リン脂質を除去する。それが間接的に顎関節表層よりSZPを減少させ、その結果摩擦係数が増加させることにより下顎頭表層と関節円板への負荷が増大し、これらが顎関節症の原因となる可能性が示唆された。
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