2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体肝移植における過小グラフト機能不全の病態解明に関する研究
Project/Area Number |
21890180
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
二宮 瑞樹 Kyushu University, 医学研究院, 特任助教 (30546461)
|
Keywords | 生体肝移植 / 過小グラフト |
Research Abstract |
1. 肝再生抑制が再生過程での肝機能・構造へ及ぼす影響の解析 ラット70%肝切除後の肝再生率、門脈圧およびCD31(類洞内皮)・AGp110(網細胆管)の免疫染色にて肝小葉構造の乱れを評価した。 24時間後の肝細胞PCNA染色陽性率はNS398群(13.5%)ではControl群(39.3%)に比し有意に減少していた。肝切除後3日目のNS-398群(38.2%)の肝再生率はControl群(44.6%)より有意に抑制されていたが、7日目では同等であった。70%肝切除後3日目の肝組織にてCD31・AGp110染色し、類洞内皮・網細胆管を観察したところNS-398群はControl群と比し小葉内での連続性の乱れが軽微であった。門脈圧はControl群では肝切除直後の上昇に加え、Daylから3にかけてもう一段階上昇したが、NS-398群ではこの2段目の上昇が有意に抑制された。 2. 肝再生抑制が致死的大量肝切除後の生存率へ及ぼす影響の検討 ラット90%肝切除後、NS-398、PD98059(肝再生抑制)、dHGF(肝再生促進)を投与し、生存率を比較した。NS-398群とPD98059群の生存率はControl群に比し有意に改善したが、dHGF群はControl群と同等の生存率であった。 NS-398で肝細胞の再生を抑制することで致死的大量肝切除後の生存率を有意に改善させることができた。Small-for-size graft機能不全では、再生過程での肝細胞と類洞内皮の再生の不均衡と、それに伴う小葉構造の乱れが関与していることが示された。
|