2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体肝移植における過小グラフト機能不全の病態解明に関する研究
Project/Area Number |
21890180
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
二宮 瑞樹 九州大学, 大学病院, 特任助教 (30546461)
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Keywords | 生体肝移植 / 過小グラフト |
Research Abstract |
1.肝再生抑制が致死的大量肝切除後の生存率へ及ぼす影響の検討 ラット90%肝切除後、NS-398、PD98059(肝再生抑制)、dHGF(肝再生促進)を投与し、生存率を比較した。NS-398群とPD98059群の生存率はControl群に比し有意に改善したが、dHGF群はControl群と同等の生存率であった。NS-398で肝細胞の再生を抑制することで致死的大量肝切除後の生存率を有意に改善させることができた。Small-for-size graft機能不全では、再生過程での肝細胞と類洞内皮の再生の不均衡と、それに伴う小葉構造の乱れが関与していることが示された。 2.臨床における生体肝移植術後敗血症発生リスクファクターの検討 当科における生体肝移植レシピエント334例中41例(12.3%)に術後敗血症の発症を認め、1年生存率は敗血症非発症例と比し有意に不良であった。多変量解析による検討ではSSG症候群、早期経腸栄養等の予防策の有無が敗血症発生の有意なリスクファクターであった。 3.生体肝移植ドナーにおける術後残肝サイズによる肝・脾組織硬度の変化の検討 音響放射圧により組織硬度判定を可能とした新技術であるAcoustic Radiation Force Impulse(ARFI)を用い,生体肝移植ドナー術後の肝再生過程における肝・脾組織硬度の変化を測定したところ、残肝の小さいSmall Remnant Liver群はLarge Remnant Liver群と比し、術後3-9日で肝・脾とも組織硬度が高値であった。類洞を伴わない肝細胞の集塊"Hepatocyte Island"の形成が組織硬度上昇の要因と想定すると、残肝が小さい方がHepatocyte Island形成が多いことが示唆された。
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