2010 Fiscal Year Annual Research Report
拡散テンソルおよび血液スピンラベリングを用いたヒト味覚伝導路の探索
Project/Area Number |
21890184
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加美 由紀子 九州大学, 歯学研究院, 助教 (60552023)
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Keywords | MRI / 味覚伝導路 / 拡散テンソルtractgraphy / 血液スピンラベリング |
Research Abstract |
本研究の目的は、functional MRI(fMRI)を用いて味覚刺激時のヒト脳機能領域を明らかにした上で、拡散テンソルtractgraphyにより、fMRIで明らかとなった味覚領域に至る神経繊維を追跡・描出し、ヒト味覚伝導路を構造面から追求すること、さらに、血液スピンラベリングを用いて味覚刺激時の、味覚領域における左右脳血流量を定量評価することで機能面からも追求し、ヒト味覚伝導路を明らかにすることである。 fMRIに関しては、MRI信号に同期させて刺激のON/OFFを指示する自動制御装置を作成し、前年度に検討・習得した手法に基づき、データ取得、解析を行った結果、味覚刺激時に大脳皮質第一次味覚野(島・前頭弁蓋)に脳活動が生じることを確認した。さらに、咀嚼を加えることで、感覚運動野・前頭前野・海馬にも脳活動が生じることを確認した。拡散テンソルtractgraphyでは、fMRIで明らかになった脳活動領域をseedとしてdTVによる神経線維追跡を行った結果、橋~視床~感覚運動野・一部前頭前野に向かう神経線維が描出されたが、側方に分岐する線維に関しては追跡困難であった。血液スピンラベリングでは、味覚物質を咀嚼する前後で、咀嚼後に脳血液循環が増加していることが示唆された。 これまで、ヒトの味覚と脳機能との関係を示すfMRI研究はいくつか報告があったが、拡散テンソルtractgraphyや血液スピンラベリングという新しい手法を取り入れ、神経伝達路や脳循環を加味した研究は皆無であった。本研究において、味覚伝導路の一部が描出されたことは、今後、ヒト味覚伝導路を明らかにする上で大変有意義であり、味覚刺激・咀嚼によりヒトの脳血液循環の変化を画像により描出したことは、将来的に、脳の活性に有効な食品の開発、咀嚼方法などを提示する上で大きく貢献するものと考える。
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