2010 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌患者における癌細胞の分化とサイトケラチンの発現様式との関連
Project/Area Number |
21890186
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
豊嶋 健史 九州大学, 顎口腔外科, 助教 (20546569)
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Keywords | サイトケラチン / 口腔扁平上皮癌 / 免疫組織化学的染色 / real-time PCR法 / 分化 |
Research Abstract |
目的 サイトケラチン(CK)17は細胞骨格を形成するタンパク質であり、口腔扁平上皮癌(OSCC)において原発巣組織におけるCK17 mRNA発現の亢進が報告されているが、OSCCの病態との関連は明らかにされてない。そこで、OSCCの分化に着目しCK17の発現様式との関連を検討した。 材料と方法 術前治療前のOSCC原発巣の生検組織材料(パラフィン切片)105例においてCK17および細胞分化関連因子であるΔNp63の免疫組織化学的染色を行い、腸性率を算出した。またOSCC由来細胞株(HSC-2、HSC-3、SAS、SQUU-A、SQUU-B)を用いてCK17 mRNAの発現量をreal-time PCR法にて検出した。 結果 CK17は腫瘍細胞全体に発現し、特に腫瘍中心部において高発現した(発現頻度:72/105例(68.6%))。癌胞巣では最外層から2、3層には発現せず、癌胞巣中心の腫瘍細胞に発現した。高分化OSCCでは先端から2、3層には発現せず、腫瘍中心部において発現した。低分化OSCCでは、先端において発現しない上皮細胞が多く、腫瘍中心部ではほとんどの上皮細胞が発現した。HSC-3やSASと比較するとHSC-2において有意にCK17 mRNAの発現量が多かった。また、再発症例由来の細胞株においてはSQUU-BよりSQUU-Aにおいて有意にCK17 mRNAの発現量が多かった。 結論 CK17はOSCC原発巣において発現頻度が高く、局所では腫瘍中心部に高発現した。また、CK17はΔNp63と異なる発現様式を示し、CK17の陽性率はΔNp63と負の相関関係を示した。さらにCK17 mRNAは高分化型OSCC由来の細胞株、そして浸潤転移能がない細胞株で発現が亢進した。以上よりCK17は高分化腫瘍細胞において発現が亢進すると示唆された。
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Research Products
(1 results)