2009 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール依存症者の飲酒欲求につながる感情体験の分析
Project/Area Number |
21890189
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木原 深雪 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 助教 (70515080)
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Keywords | アルコール依存症 / 飲酒欲求 / 感情 / 看護 / 内省 |
Research Abstract |
アルコールの過剰摂取はアルコール依存症をはじめ、多くの人々の心身の健康や社会生活を損なう重要な要因である。これまでのアルコール依存症についての研究結果にはばらつきがみられ有力な打開策に乏しいのが実情である。アルコール依存症への医療的支援では自助組織と連携をとりつつ当事者自身が飲酒欲求につながる自己のありようについて深く省みるための支援が重要である。しかし、看護職や関与する周囲の人々はアルコール依存症者への感情的なわだかまりや、対応への困難感があり、適切な支援を提供しにくい現状にある。そこで本研究においては、アルコール依存症者自身の感情面に焦点を当て、アルコール依存症者の飲酒にまつわる感情体験やその意味、周囲との関係についての明確化を試みた。今年度実施した内容は以下のとおりである。(1)問題提起(平成21年4月~6月)問題意識を深めつつ文献検討を行いインタビューガイドを作成した。(2)状況把握(平成21年7月~8月)アルコール依存症者の自助組織に関与する男性で、DSM-IV、KASTによりアルコール依存症と認めら本研究への参加の同意を得られる研究参加者を募り、3名の研究参加者に半構造化面接を実施し、インタビューガイドの妥当性や面接の方向性を確認した。研究参加者には感情を表現しにくい場面もみられたため、「感情のリスト」を作成し、適宜提示して参加者の発言を促進するように工夫した。(3)本質追求(平成21年9月~平成22年3月)20名の研究参加者に協力が得られ、半構造化面接を行った。飲酒欲求につながる感情体験には個別性があるものの、何らかの類型化の可能性も推測された。現段階では累積KJ法により段階的に緻密に分析を行っており、ほぼ研究計画書のタイムスケジュールどおりに行えている。また、情報収集と分析の全過程においては研究の妥当性を確保するために金沢大学大学院などで継続的に意見交換を行っている。
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