2010 Fiscal Year Annual Research Report
テーラーメイド医療への展開を視野に入れたマウス癌性腹膜炎モデルの開発
Project/Area Number |
21890191
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
金高 賢悟 長崎大学, 大学病院, 講師 (10549570)
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Keywords | 癌性腹膜炎 / 胃癌 / 動物モデル |
Research Abstract |
「研究の目的」 胃癌の腹膜播種の機序を理解するには、適切な動物モデルが必要と考えられる。そのため、我々は実際に手術にて切除された臨床検体より採取された臨床的癌細胞を用いて、これを免疫不全マウス腹腔内へと移植するマウス癌性腹膜炎モデル作成を行う予定である。このマウスモデルは臨床状態に近い癌性腹膜炎モデルとなる可能性があり.実際の症例の臨床経過および病理組織学的な所見との比較によって発症機序の解明に役立つ可能性ある。 「研究実施計画」 当初の予定では、昨年度中に移植実験を開始する予定であったが、漿膜浸潤を伴うような適格症例が予想より少なく実験の開始が遅れることとなった。 最終的には平成23年3月までに、漿膜浸潤を認める高度進行胃癌症例3症例4病変より、胃癌組織を摘出し、それぞれ5匹の免疫不全NOD-SCIDマワス胃壁内への同所性移埴実験を行うことができた。20匹のうち4匹を移植実験後にて失ったが、現在までmorbundとなったマウスはなく、食欲や活動度の変化などを観察しつつ、犠牲死のタイミングを考慮していうる状況である。 一方で、近年、癌幹細胞が癌の転移や浸潤、抗癌剤抵抗性に関与しているという実験データが多く報告されている。我々は、胃癌の癌性臆膜炎においても癌幹細胞が深く関与していると考え、"癌幹細胞理論"にて癌幹細胞マーカーとして着目されつつある細胞膜蛋白CD44およびCD131による免疫染色実験を行った。現在結果を解析甲であるが、特にCD44分子は胃漿膜浸潤部に強く染色される傾向を認めている。 今後は、今回の実験のまとめとして、同所性胃癌組織移植実験の生着率の検討、臨床検体を用いた癌幹細胞マーカー発現と予後との関係を評価し、報告する予定である。
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