2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21890204
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
関根 英治 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (40363759)
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / ループス腎炎 / インターフェロン調節因子4 / CD4性T細胞 / Th1 / Th17 |
Research Abstract |
昨年度までの研究で、Irf4^<-/->MRL/lprマウスでは細胞増殖性糸球体腎炎が認められ、また血清中の自己抗体やCD19^+/IgM^+ B細胞、IL-17産生Th17細胞はほとんど認められないものの、IFN-γ産生Th1細胞が著増していることを見いだした。我々はさらに他のSLEモデルマウスであるNZM2410マウスにおいて同様の解析を行った。その結果、MRL/lprマウスに比べて軽度であるが、Irf4^<-/->NZM2410マウスでも腎炎とIFN-γ産生Th1細胞の著増が観察され、IRF4欠損SLEモデルマウスにおける腎炎のメカニズムとして、著増したTh1細胞から産生されるIFN-γによってメサンギウム細胞が活性化され、細胞増殖性糸球体腎炎が引き起こされている可能性が示唆された。すなわち、本研究においてIRF4はB細胞やTh17細胞の成熟または維持に必須であり、これらの細胞に対して正の調節因子として作用しているが、Th1細胞に対しては過剰な成熟または維持について抑制を行う負の調節因子として作用していることが示された。本研究では、SLEモデルマウスにおいて観察されるループス様腎炎において、CD4陽性Th1細胞が直接関与するメカニズムが示唆され、そのCD4陽性Th1細胞の調節因子としてIRF4が強く関与することが示された。近年、ループス腎炎ではB細胞を標的とした治療戦略(rituximabなど)が行われてきたが、本研究の結果、CD4陽性T細胞も標的とした治療戦略の必要性も示唆された。また、Th1細胞が強く関与すると考えられる疾患(肉芽腫性疾患や自己免疫性疾患の一部)において、IRF4が重要な役割を演じている可能性が考えられ、それらの疾患におけるIRF4の関与について研究を進めることが必要であると考えられた。
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