2009 Fiscal Year Annual Research Report
肢体不自由児施設の母子入園制度に関するプログラム評価
Project/Area Number |
21890209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Chiba Prefectural University of Health Sciences |
Principal Investigator |
藤岡 寛 Chiba Prefectural University of Health Sciences, 健康科学部・看護学科, 助教 (90555327)
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Keywords | 医療・福祉 / 看護学 / 脳性麻痺 / 家族 / 母子入園 |
Research Abstract |
肢体不自由児施設のおける母子入園制度のアウトカムとして、先行研究のレビュー及び母子入園スタッフからのヒアリングにより、「児の身体的・情緒的機能」「母親のケア技術」「母親の養育意欲」が挙げられた。「児の身体的・情緒的機能」「母親のケア技術」については、すでに先行研究で十分に明らかにされているが、「母親の養育意欲」については、明らかになっていなかった。そこで、本研究では、養育意欲について、家族エンパワメント(※)の概念を用いて、母子入園を経験した母親15名に半構造化面接を行い、質的分析を行った。その結果、母子入園スタッフや共に入園している母親同士の交流を通じて、障害児を養育する苦悩と喜びを共有することで、母親自身が前向きに児や療育に向き合うようになっていた。また、父親をはじめとする他の家族員を巻き込んで、家族全体で児の療育を行えるようになっていた。通園・リハビリ・訪問看護などの社会資源について、母子入園前から既に活用しているケースもあったが、母子入園スタッフからの情報提供により、退園後新たに社会資源を利用し始めるケースや、もともと利用していた社会資源を再構成して有効に活用するようになったケースもあった。地域行政との関わりとしては、療育手帳や装具の申請にあたって、書類の受け渡しが中心であり、制度や政策への不満や要求はほとんど表出されなかった。母子入園は療育初期の家族にとって、養育意欲を含む家族エンパワメントを推進させる貴重な機会となっていた。 (※)家族エンパワメント:ある問題に対して、家族が、家族自身でまたは他者と連携・協働して、問題を解決しようとする姿勢またはその行動を示す概念である。
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