2010 Fiscal Year Annual Research Report
肢体不自由児施設の母子入園制度に関するプログラム評価
Project/Area Number |
21890209
|
Research Institution | Chiba Prefectural University of Health Sciences |
Principal Investigator |
藤岡 寛 千葉県立保健医療大学, 健康科学部・看護学科, 助教 (90555327)
|
Keywords | 医療・福祉 / 看護学 / 脳性麻痺 / 家族 / 母子入園 |
Research Abstract |
前年度の研究成果として、母子入園における重要なアウトカム指標として家族のエンパワメントが明らかになった。そこで今年度は、全国の肢体不自由児施設の中から、母子入園を継続的かつ体系的に実施している施設を選定し、当該施設において母子入園を経験した母親に、半構造化面接を実施し、面接内容を質的に分析した。その結果、母親のエンパワメントに及ぼす母子入園の効果として、以下の4つが明らかになった。(1)母子関係の構築:母子入園を通じて、児の成長を実感できるようになっていた。専門職との関わりの中で、児に対する理解を深め、適切に接することができるようになっていた。(2)母親同士の心情の共有:母親同士で生活を共にすることで、お互いの状況や心情の理解がなされ、療育における精神的な支えになっていた。(3)療育への方略の獲得:療育サービスに関する情報提供がなされることで、サービス利用に関する方略を得て、退園後にサービスを積極的に活用することができていた。(4)療育ネットワークの拡大:障がい児をもつ親同士及び専門職とのネットワークが広がり、退園後も、そのネットワークは維持されていた。これらの結果から、母子入園によって結ばれた母親同士及び専門職との絆が母親のエンパワメントの素地になったと言える。ただし、エンパワメントを維持・促進していくためには、退園後もシームレスに療育が継続できるよう、通園施設などのサービス機関と連携を図る必要がある。
|