2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21890213
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
中村 昭伸 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (70552420)
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Keywords | グルコキナーゼ |
Research Abstract |
グルコキナーゼ活性化薬(GKA)による糖尿病治療の可能性に注目が集まっている中、われわれはGKAが膵β細胞でのインスリン分泌能増強作用と肝での糖利用亢進作用により糖代謝を改善するのに加え、膵β細胞増殖作用も有していることを明らかにし(Nakamura A, et al.Endocrinology, 2009)、そのメカニズムとしてIRS-2が重要であることが示唆された(Nakamura A, et al.Unpublished data)。そこで野生型マウス単離膵島を用いてGKAによるIRS-2発現メカニズムについて検討したところ、高グルコース下またはGKA投与によりCREBのリン酸化、IRS-2発現の有意な上昇を認めた。このIRS-2発現増加はSU薬では認められず、さらに2-deoxyglucoseでも発現増加を認めなかった。またnifedipineとtacrolimusの投与では、高グルコース下またはGKAによるIRS-2発現増加は部分的に抑制された。一方、H_2O_2投与により酸化ストレスを誘導した状態で、GKA投与によるIRS-2発現増加は抑制されたが、抗酸化剤(α-tocopherol plus ascorbate)の前投与によりIRS-2発現増加は回復した。さらに酸化ストレスが膵β細胞機能低下の原因として考えられるdb/dbマウス単離膵島においては、高グルコース下またはGKA投与によるIRS-2の発現上昇を認めなかった。以上よりGKAによるIRS-2発現メカニズムとして、グルコース代謝と一部Caシグナルを介すると考えられ、酸化ストレス存在下においては、GKAによるIRS-2の発現上昇が妨げられることが明らかとなった。
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