2010 Fiscal Year Annual Research Report
精神疾患脆弱性、および薬物応答性に関わる因子の探索
Project/Area Number |
21890215
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
井上 和幸 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (90514589)
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Keywords | 遺伝子 / 精神疾患 / 脆弱性 / 薬物応答性 |
Research Abstract |
社会的ストレスを含む精神疾患は大きな社会問題であるが、その特殊性から軽症のうちに自らが進んで受診することは少ない。精神疾患の脆弱性には遺伝的要因が関与していることが知られており、その遺伝的要因を明らかにすることで、例えば、個人の同意を得た上で遺伝子解析を行い、得られた情報を基に個人自らがセルフケアを行うことが可能となる。また、抗うつ薬をはじめとする精神疾患治療薬の応答性にも遺伝的要因が関わっていることが知られており、症状の重篤化により薬物治療が開始されたとしても、遺伝子情報を基にした個別化医療を直ちに施行することができる。本研究では、精神疾患脆弱性、および治療薬応答性に関わる遺伝的素因の探索を目的としている。まず、日本人健常者での精神疾患脆弱性に関わる遺伝子多型データの蓄積を試みた。日本人260人において、うつ病などの精神疾患脆弱性に関わる遺伝子(セロトニントランスポーター(5HTT)、ノルアドレナリントランスポーター(NAT)、ドパミントランスポーター(DAT)、cAMP responsive element binding protein 1 (CREB1)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、セロトニン2A受容体(5HT2A)、piccolo(PCLO)、PACAPなど)において多型解析を行った。そのうちCREB1 rs4675690、PCLO rs2522833に関しては、これまで日本人での頻度分布の報告がなく、また欧米人とは異なるアレル頻度分布を示し、日本人と欧米人との間に人種差が存在する可能性が示唆された。これらの結果は、今後、精神疾患脆弱性、および治療薬応答性を検討する上で、有益なデータとなると考えられた。
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