2010 Fiscal Year Annual Research Report
フラボノイド結合蛋白の同定と、分子基盤に基づいた癌予防法の基礎的研究
Project/Area Number |
21890223
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
飯泉 陽介 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (20533178)
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Keywords | フラボノイド / 癌予防 / ケミカルバイオロジー / 標的分子 / 作用機序 / アピゲニン / ナノ磁性ビーズ / プロテオミクス |
Research Abstract |
本研究は、癌予防効果を有するフラボノイドの結合蛋白、つまりヒト細胞内に存在するフラボノイドの直接の作用点を見出し、その結合蛋白の機能より効果的な癌予防法を提案することを目的としている。平成21年度では、癌予防効果が報告されているフラボノイドのケルセチン・ゲニステイン・アピゲニン・ルテオリンの結合蛋白を探索・同定し、そのうち機能が未知であったアピゲニン結合蛋白ABP1(Apigenin-binding protein 1)が癌細胞の増殖に寄与していることを見出した。平成22年度では、このABP1の機能解析を進めていった。代表的な癌抑制遺伝子p53とp16が失活している大腸癌細胞株HT-29において、siRNAを用いたABP1のノックダウンにより、細胞周期がG2期で停止し、細胞増殖が抑制されることを見出した。その分子機構としては、ABP1のノックダウンにより、G2期からM期への移行に関与している蛋白の発現が変動することが明らかになった。さらに、アピゲニンがこのABP1の機能を阻害することにより、ABP1ノックダウンと同様のG2期停止を誘導し、HT-29細胞の増殖を抑制していることが明らかになった(論文投稿準備中)。 フラボノイドがなぜ癌予防効果を有するのか、その分子機構については、ほとんど明らかになっていなかった。本研究により、アピゲニンの直接の標的分子ABP1が見出され、この成果はフラボノイドによる癌予防効果を直接の標的分子から説明しうる初めての成果である。また、アピゲニンによる癌細胞増殖抑制機構の解析を通して、機能が不明であったABP1が、細胞周期のG2期からM期への移行に寄与していることが見出され、基礎研究の観点からも非常にインパクトのある成果となった。
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