2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨粗鬆症を標的とする組織特異的プロトンポンプATPase阻害薬の探索
Project/Area Number |
21890239
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
關谷 瑞樹 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (70509033)
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Keywords | 酵素 / プロトンATPase / V-ATPase / ATP合成酵素 / 阻害剤 |
Research Abstract |
本年度はプロトン輸送ArPaseの駆動機構を明らかにすることを目的にF-ArPaseをモデルとして一分子観察を中心とした解析を行った。F-ArPaseのF_1部分はγサブユニットが触媒活性を持つβサブユニットと相互作用し、Arpの合成・分解と分子の回転を共役させている。これまでに、F_1部分の回転の途中には秒単位の休止が存在することが示唆されていた。本年度は休止状態を定量的に評価し、メカニズムを解析した。観察時間の延長により、F_1は約1秒ごとに回転と停止を繰り返すことを明らかにした。連続回転している時は毎秒約500回転の高速で回転した。休止時間を含めた平均速度は毎秒約160回転であり、ATPase活性から予想される回転速度と一致した。したがって、秒単位の休止によってATPの加水分解は60%以上阻害されることが明らかになった。さらに、内因性の阻害因子であるεサブユニットの添加により、連続回転時間は変化せず休止時間は3倍に増加した。また、連続回転している時の回転速度は約50%低下した。このことから、εサブユニットは回転速度を低下させるとともに、休止を延長させることによって、F1によるATPの加水分解を抑制することが示唆された。さらに、休止について熱力学的解析を行い、休止状態は連続して回転するときとは異なるエネルギー状態にあることを明らかにした。 破骨細胞におけるプロトンポンプATPaseも共通するメカニズムを有する可能性が考えられる。研究成果はJournal of Biological Chemistry (2010, 285, 42058-42067)にて報告した。
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