2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21890244
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐藤 龍洋 Kitasato University, 薬学部, 助教 (70547893)
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Keywords | mTOR / AMPK / Rheb |
Research Abstract |
私たちはまずmTORとその活性化因子Rhebに結合するタンパク質の探索を行った。その結果、Rhebに結合するタンパク質としてすでに知られている脂質修飾酵素ファルネシルトランスフェラーゼ以外に、アポトーシス関連因子およびDNA合成に関与するタンパク質を同定した。また、mTORに結合するタンパク質として、既知の複合体構成因子Raptor、Rictor、GβL/mLST8、PRAS40、SIN1に加えて複数の新規結合タンパク質を検出した。既知の結合タンパク質の同定は、私たちの実験がうまく進んでいることを示しており、また、Rhebに結合する新規タンパク質はDNA合成に関与することから、mTORを介したタンパク質合成系と併せて細胞増殖や細胞サイズの制御に重要な役割を担っている可能性が推測できた。mTORに結合することが確認できた新規タンパク質は細胞骨格に関与するタンパク質であった。mTOR複合体のひとつmTORC2はアクチン細胞骨格を制御するがそのメカニズムについてはほとんどが謎であった。この新規タンパク質の発見はmTORC2からのアクチン制御機構を説明できる可能性がある。Rheb、mTORはがんや糖尿病だけでなく寿命にも関与するタンパク質であり、未知シグナル伝達の解析は新たな治療薬の開発につながる重要な研究である。また、Rheb-mTORを制御する因子のひとつ、AMPKはがんや寿命に関与するエネルギーセンサータンパク質でり、私たちはこのAMPKのサブユニットにそれぞれ結合するタンパク質も同定しつつある。 また、mTORの阻害剤を用いたリン酸化プロテオーム解析を行い、新規mTOR基質の探索を行っている。これまでに複数の新規候補を同定しており、また、mTOR複合体1,2それぞれの基質を別々に検出できたことから、より詳細なmTORシグナルの解析が期待できる。
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