2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト電位依存性有機酸輸送体OATv1による尿酸輸送:利尿薬性高尿酸血症発症機序
Project/Area Number |
21890245
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
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Keywords | トランスポーター / 有機酸 / 利尿薬 / パラアミノ馬尿酸 / 電位依存性 / 尿酸 |
Research Abstract |
臨床上使用頻度の高い利尿薬は、副作用として高尿酸血症が知られている。これは薬物投与により循環血漿量が減少し、糸球体濾過率低下を来すためだけではなく、薬物自身が近位尿細管の尿酸分泌を抑制するために生じると考えられている。その原因となる分子実体は未だ不明である。本研究ではヒト腎近位尿細管管腔側膜のNa^+依存性リン酸トランスポーターNPTが、電位依存性の有機酸排出を担う分子OATv1と考えられることから、そり尿酸排出機能について検討する事で未同定の尿酸輸送分子の特定を目指すとともに、ヒトOATv1と利尿薬の相互作用を調べることで、利尿薬による副作用発症機序を解明し、利尿薬による副作用軽減に向けた治療法開発につなげる基盤となすことを目指す。 本研究では、利尿薬による副作用軽減に向けた治療法開発を目指し、(a)ヒト電位依存性有機酸排出トランスポーターhOATv1による電位依存性尿酸排出輸送特性の検討、および(b)ヒト電位依存性有機酸排出トランスポーターhOATv1と利尿薬との相互作用の検討、を目的とする。昨年度に、RI標識パラアミノ馬尿酸PAHをトレーサーとし、アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いて、hOATv1の電位依存性有機酸輸送の解析を行った結果、hOATv1の電位依存性有機酸輸送を確認できたため、今年度は引き続き更なる輸送活性の評価とhOATv1と利尿薬との相互作用の検討を行った。hOATv1は電位依存性に尿酸を輸送することが明らかになり、ループ利尿薬furosemideやチアジド系利尿薬chlorothiazideなどがその尿酸輸送を濃度依存性に抑制することが明らかになった。すなわちhOATv1を作用点とする尿酸と利尿薬の競合による尿酸分泌低下が、利尿薬性高尿酸血症発症に関与する可能性が明らかとなり、J Biol Chem誌に成果を公表した。
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