2009 Fiscal Year Annual Research Report
マウス板間静脈の発達における骨代謝と血管新生の相関
Project/Area Number |
21890249
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鳥海 春樹 Keio University, 医学部, 研究員(非常勤) (30528203)
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Keywords | 板間静脈 / Diploic veins / 血管新生 / 骨代謝 / シェアストレス / 血管内皮 / 微小循環解析 / 骨内循環 |
Research Abstract |
該年度、マウスを使用し、頭蓋骨内に存在する板間静脈(Diploic veins)について、週齢に伴うその形態発達と血流動態の相関について、静脈網の形態学的な解析とその微小循環動態解析を統合した研究を行った。頭蓋骨内の骨腔と、その中の血管構造が共に発達していくDiploic veinsは、骨の形態変化(Remodeling)と血管新生(Angiogenesis)が相関して発達しているのが明らかな部位であり、この両者をつなぐ候補として、血管内皮に加わるシェアストレスとそれを惹起する微小循環動態が想定される。これは、現在あまり注目されていない骨内微小循環計測を骨代謝研究と結び付ける非常に意義のある研究であり、今後骨粗鬆症など骨代謝疾患の研究に新しい局面を開く可能性のある重要なものである。 本年度の研究の具体的内容であるが、形態的解析については共焦点レーザー顕微鏡を用いた3D画像の構築を行い、脳硬膜と頭蓋骨内の血管網の連結様相を、詳細に描写することに成功した。これは、第37回日本頭痛学会総会において報告した。また、脳表面の血管構造とその血流動態についての考察を加え、これを英文誌に掲載した。 微小循環の解析は非常に複雑な流体力学的なファクターを処理せねばならないもので、現在十分に分子生物学的な検討とのリンクが為されているとは言えない状況であるが、血管新生を研究する上で、血管内皮への血流の効果を定量的に評価していく事は非常に重要な懸案であり、我々の「血管構造解析」とその血管内の「血流動態解析」を連結した検討手法は、非常に発展性がある。また、検討部位として頭蓋骨内の静脈叢を設定したことで、血管新生と骨代謝の相関を検討可能な野心的実験系を構築する事に成功した。
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