2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウス板間静脈の発達における骨代謝と血管新生の相関
Project/Area Number |
21890249
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鳥海 春樹 慶應義塾大学, 医学部, 研究員(非常勤) (30528203)
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Keywords | 板間静脈 / Diploic veins / 骨代謝 / 骨リモデリング / 骨内微小循環 / in vivo イメージング / 頭蓋内循環 / 片頭痛 |
Research Abstract |
頭蓋骨内に存在する「板間静脈」は、骨内の血管網であるにも関わらず、in vivoでほぼ生理的な状態の微小循環動態が観察可能な稀少部位である。このため、骨代謝研究における非常に汎用的なモデルとして活用できる可能性があるが、現在のところ板間静脈の循環特性や形態発達についての詳細な検討は加えられていなかった。当研究においては、所属研究室にて構築された脳微小循環解析系を板間静脈に適用し、その特異的な微小循環動態を解析して、広く骨代謝研究に資する事を目的とした。 初年度は、共焦点レーザー顕微鏡を使用して、麻酔下のマウス板間静脈から、脈管中の微小循環インディケータ(蛍光標識赤血球)を検出することと、その検出精度を上昇させることに研究の主眼を置いた。骨組織におけるレーザーの散乱や透過性特性を解析ソフト上で処理することにより、微小循環解析の為に充分な検出精度が得られた。 次年度は、板間静脈の構造的解析に重点を置き、蛍光標識デキストランの投与法と検出系の工夫により、骨内の特異的な静脈網を、微小血管のレベルまで描出可能な系を確立した。これにより、板間静脈が、週齢に依存した非常に特徴的な拡大を示すことを明らかにした。また、板間静脈の微小血管構造とその中から検出された微小循環解析データとの相関をまとめ、英文誌(Microvascular research)に掲載した。 板間静脈の特徴的な構造発達は、骨と血管両者の相互作用によるリモデリングがその主体であり、この構造発達の定量評価と発達部位における骨内微小循環解析を合わせて行った本研究は、今後の骨代謝研究に資する重要なものとなり得たと考える。
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